全盲のマイケルヒングソン氏講演会

2012-07-04 (Wed) 18:32

サンダードック世界貿易センタービルの78階にあるコンピュータ会社に勤めていたマイケル・ヒングソンさんは、崩落するビルのなかを生きのびた。それは鮮烈な生還劇だった。
 彼は生まれながらの全盲だったが、相棒の盲導犬ロゼールにぴったりと付き添われて地上に還ってきた。

 どこかで轟音が鳴り響き、ビル全体を震わせた。炎が燃え盛り、ジェット燃料の臭いが鼻をつく。マイケルとロゼールは生き残りを賭けてひたすら非常階段を降りていった。

 周りの人々は意外なほどに落ち着いている。だがマイケルはひとつの事態を思い浮かべて、恐怖に慄いた。今もしビルが停電となって灯りが消えてしまえば――。暗闇のなかで人々はパニックに陥るだろう。何十人、いや何百人もの人たちが殺到して、将棋倒しになってしまう。そうなったら誰も生きては地上に出られないだろう。

 そうだ、そのときこそ、自分たちの出番だ。愛犬のロゼールが自分だけでなく、被災者すべてを誘導すればいい。自分は暗闇の世界に暮らして、これまでもロゼールに幾度助けられたことだろう。困難を乗り超えて、共に生き抜く術を身につけてきた。わが人生のパートナー、ロゼールは並外れた嗅覚、聴覚をもっている。その第六感に全幅の信頼を置いており、彼女なら、みんなを救うことができるはずだ。

 マイケルは力強い声で呼びかけた。

「皆さん心配しないでください。もし停電になったらロゼールと僕がここから脱出させてあげます。料金も特別に半額で結構です」

 張り詰めた空気が一瞬和らぎ、笑い声さえ階段に響き渡った。かくして、非常階段に居合わせた人々は、クライシスの絶頂にあって、心をひとつにした。そして、1463段の階段を互いに励ましあいながら降りていった。彼らは「運命共同体」そのものだった。マイケルたちが危機一髪でビルを逃れた直後に世界貿易センタービルは崩落していった。

 東日本大震災でも、人と人の堅い絆が多くの命を救ったことが報告されている。目が見えないことは決して障害ではない。ひとつの機能だ――。こう言い切るマイケルの言葉は、大災害に襲われた今のニッポンにも大きな勇気を与えてくれる。

申込みは、こちらから。
サンダードックpdf 詳しいチラシはここにあります。

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